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22 恋バナと、苛立ちと。

Auteur: 栗栖蛍
last update Dernière mise à jour: 2025-06-03 06:58:49

「ねぇ咲ちゃん、カレンダーに何かあった?」

「あぁいや、日が経つのってあっという間だなと思ってさ」

 店を出る時、カレンダーの前で足を止めた咲は何を思っていたのだろうか。

 明るく振舞う彼女に深い詮索が出来ないまま、山の方へ歩いていく。何もない田舎道を小川に沿って進むと、10分も経たずに目的地の広場の入口が見えてきた。単純な経路だからと「迎えに行こうか?」と言う智の申し出を断ったのは正解だったようだ。

 木々に覆われた坂の奥を見据えて、咲がふと重い口を開く。

「12月1日にハロンが来るんだろ? 3ヶ月なんてすぐだなぁって」

「その事だったんだ……」

 異世界を脅威に陥れたハロンが、次元を超えて12月1日にこの町へやって来る。それを迎え撃つために、智と湊は戦う備えをしているのだ。

「私も怖いよ。応援するくらいしかできないけど、何か二人の力になれたらって思う。けど、足手まといになっちゃうのかな」

「そんな事ないよ。応援してくれる芙美を邪魔だなんて、私だったら絶対に思わない。けど、具体的に何ができるかって言うと、難しいところだよな」

 咲はきゅっと唇を噛む。

 ハロンへの恐怖は彼女の方が強いことを感じて、芙美は「そうだ」と咲の前へ飛び出た。

「お泊り会の話したら、お兄ちゃんが咲ちゃんに会いたいって言ってたよ! 良かったら来週にでも来る?」

「ホントか! やったぁ!」

 気が少しでも紛れればと思ったのが功を奏して、咲は表情をコロリと変えてガッツポーズする。

「前に入学式で撮った集合写真を見せたんだけど、咲ちゃんの事だいぶ気に入ってるみたい。張り切って何するか分かんないから気を付けてね」

「へぇ。流石、見る目があるお兄様だな」

 蓮が彼女に執拗なちょっかいを出しそうな気がしてならないが、咲も蓮に会う事を相当喜んでいるようだ。

「そうだな、芙美のお兄様とお付き合いするのも面白いかもな」

「えぇ?」

 企むように笑う咲に、悪い予感を感じてしまう。まさか本当にそれが目的だったのだろうか。大体、咲は蓮の顔すら見たことが無いのだ。

「やめときなよ、うちのお兄ちゃんなんて。確かに前は彼女いたけど、本当はお兄ちゃんって二次元の女の子が好きなんだよ? 夜も部屋から変な声聞こえるし」

 二股を掛けられた事情は分からないけれど、蓮の部屋は一言で言い表せない異空間になっていて、アニメ絵のポスター
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     始まりの合図は、智が呟いた「行くよ」の言葉だ。 声は聞こえなかったけれど、遠くに居る彼の唇を読んで芙美は息をのむ。 二人が同時に間合いを詰めて、剣に見立てた棒を振り下ろした。広場に響くのは静寂と足音、そして叩き合う鈍い木の音に時折吹く風に混ざる呼吸音だ。 二人の動きは速いけれど、どうにか目で追うことができた。攻撃の一つ一つが相手を本当に切り込んでしまいそうで、芙美は塞ぎたくなる瞼をこじ開けて二人を見守る。 ぎゅうっと汗ばんだ手を握り締めると、「怖くないよ」 横から咲が手を繋いでくれた。 細くて華奢な手だ。ホッとするその温もりは、以前にも覚えがあるような気がした。「ありがとう、咲ちゃん」 いつかどこかで感じた懐かしさを噛み締めて、芙美は二人へ目を凝らす。 攻撃と防御が繰り返される流れが乱れて、間合いを抜けた智の剣先が一瞬早くとどめを撃ちに行く――彼が勝ったと芙美が思ったのと同時に、咲が確信を込めてその結末を口にした。「ほら、やっぱり湊の勝ちだよ」「そうなの?」「あぁ。よく見てよ」 芙美が慌てて視線を返すと、向かい合っていた筈の二人の位置が変わっていた。湊が背後に立って、智の剣先を頭上で握りしめている。「真正面から突いても、湊相手じゃ喰われるだけだよ」「咲ちゃん、詳しいね」「大好きだから」 咲はニコリと笑う。「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」 二人の勢いが止んで、智が悲痛な声を上げた。「俺の勝ちだな」「お前、本気で殺しに来ないでくれる?」「そこまでしてない」 湊はパッと智の武器から手を放して、得意気な笑みを滲ませた。 悔しがる智に咲が駆け寄って、「惨敗だな」と肩を叩く。「湊を挑発したお前が悪い。そんなに悔しいなら、私と戦ってみないか?」「は? 咲ちゃんと俺が?」「見てたら私もやりたくなっちゃったの! 一回だけだから、お願ぁい!」 咲は可愛く手を合わせると、「ちょっと貸して」と湊から武器の棒を奪った。片手に握り締めた棒の先端を智に向けて「ね?」と構える。「海堂、遊びじゃないんだぞ? そんな格好でやめとけよ」 呆れ顔の湊の注意にも、「平気平気」と咲はやる気満々だ。 ミニスカートでヒールをはいた咲に、戦闘経験があるとは思えない。さっきの「大好き」は、『観戦する』の意味ではないのか。「危ないよ、咲ちゃん」 心配する芙

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     下り電車が先に発車して、駅のホームに智の姿はなかった。 一人電車を待っていた湊が芙美を振り向く。いつもならその流れで一緒に帰っているが、彼までの距離を詰めることに躊躇した。 ──『それとも芙美ちゃん、湊のことが好きだった?』 智にそんな事を言われて、妙に湊を意識してしまう。 二人の時、今まで自分はどんな顔をしていただろう──そんな事を考えながら鉛のような重い足を一歩だけ前へ出すと、湊が不思議そうに芙美を呼ぶ。「荒助(すさの)さん」 五メートルの距離をあっさりと縮めて、彼は「帰ろう」と笑顔を見せた。   ☆ 電車の中は冷房が効いているが、芙美の両手は炎天下に居るかのようにじわりと汗ばんでいる。 好きだと言ってくれたのは智なのに、湊と居るだけで心拍数がゲージを振り切ってしまいそうだ。「昨日は……いや今朝も海堂が変だったけど、今は荒助さんがいつもと違う感じ。智と何かあった?」「ど、どうしてそう思うの?」「アイツは昔から悩むと黙るタイプだったから。昼飯食べてる時上の空でさ、前もそうだったなって思い出した。図星だった?」「…………」「アイツは聞いても何も言わなかったけど。体育の時に二人で保健室に行ったでしょ? そこで何かあったのかなってね」 湊の観察力に、芙美は動揺を隠せない。少なくとも芙美には二時間目以降の智が普通に見えた。しかし彼の昔を知る湊は小さな変化を読み取ることができたらしい。 ただ、それが幾ら本当でも、保健室でのことを彼に話す事はできなかった。「えっと、智くんの話を色々聞かせてもらったの。湊くんも、ハロンとの戦いに向けて修行してるの?」「修行? 俺はそんなスポ根系じゃないよ。アイツそんなこと言ってたの?」 湊は眼鏡の奥の瞳をスッと細めて顔をしかめた。「修行って言葉は私が言ったんだけど。智くんには「間違ってはいない」って。智くんは魔法が使えるって言ってたけど、本当なの?」「本当だよ。アイツは魔剣士なんだ」 異世界でのアッシュこと智は、魔法使いで剣士という立ち位置らしい。魔法を使うとは言っても、ローブを着て魔導書を読み上げるような魔法使いではないようだ。「湊くんは剣士なんだよね」「まぁ、普通のね」 湊は『普通』だと強調する。魔法を使えないことが彼のコンプレックスなのかと悟って、芙美は「ごめんなさい」と謝った。「ど

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